【睡眠時無呼吸症候群】
睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome: SAS)では、上気道が狭くなることによって無呼吸や低呼吸等の呼吸イベントが睡眠中に繰り返し生じます。この呼吸イベントにより睡眠が分断され、日中の過度の眠気が引き起こされます。
性別でみると、男性のほうがSASにかかりやすい傾向にありますが、閉経後の女性はホルモンの分泌量が大きく低下し、男性と同程度まで睡眠時無呼吸症候群になりやすくなるので要注意です。
【原因】
【症状】
睡眠中のいびき・窒息感・あえぎ呼吸、日中の眠気や起床時の頭痛、集中力の低下などを認めます。
【診断】
・5未満: 睡眠時無呼吸症候群ではない
・5~15: 軽症
・15~30:中等症
・30以上:重症
重症度に応じて、以下のような治療計画を立てます。
[AHIが5未満]
特に治療はしませんが、肥満の方は減量で病気を予防しましょう。
[AHIが5以上]
精密検査を行い、睡眠時の体の状態をさらにくわしく調べます。
[AHIが40以上]
明らかに重症なので、すぐに治療を開始します。
精密検査が必要と判断されたら、医療機関に一泊入院して、ポリソムノグラフィー(PSG)という検査を行います。
【治療】
1)減量
減量手術に関しては、BMI35kg/㎡以上の肥満症で、高血圧症、糖尿病、脂質異常症またはOSAのうちひとつ以上を合併している方に対して、6カ月以上の内科的治療を行っても十分な効果が得られない場合、腹腔鏡下スリーブ胃切除術の保険適応となります。
2)口腔内装置(Oral appliance;OA)
睡眠時(特に仰向けで休んでいるとき)は下顎が下方に沈みそれによって気道が閉鎖され、いびきや無呼吸が起こるため、上下顎の歯列にマウスピースを装着することで、下顎を前方で固定させ、気道を確保します。
軽症~中等症の方で、画像検査にて下顎が後退しており、上気道が狭いことが判明している場合に効果が期待できます。
【予後】
OSAと高血圧は互いに合併率が高く、OSAの約50%に高血圧症が、高血圧症の約30%にOSAの合併がみられます。また、低酸素・高二酸化炭素を繰り返すこと、一過性低酸素と再酸素化による酸化ストレスと炎症反応の亢進で血管内皮機能障害・動脈硬化の進展を来すことなどを介して心血管障害を来します。CPAP治療は、これらのリスクを低下させることが明らかになっています。