【一般内科の病気について】
生活習慣病
生活習慣病とは、「健康的と言えない生活習慣」が関係している病気のことです。生活習慣とは、食習慣、睡眠習慣、運動習慣、嗜好(飲酒や喫煙)などのことで、該当する病気には高血圧症、脂質異常症、糖尿病、肥満、高尿酸血症、脂肪性肝疾患、肺気腫など多くの病気が含まれます。さらにはがん、脳血管疾患、虚血性心疾患など多くの疾病の発症や進行に深く関わっていることが明らかになっています。
1.高血圧症
降圧目標
診察室血圧 | 家庭血圧 | ||
75歳未満 | 目標 | 130/80mmHg | 125/75mmHg |
以下の病態では右の値を目標とする。 ・脳血管障害 (両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞あり、または未評価) ・尿蛋白陰性の慢性腎臓病" | 140/90mmHg | 135/85mmHg | |
75歳以上 | 目標 | 140/90mmHg | 135/85mmHg |
以下の病態では右の値を目標とする。 ・脳血管障害 (両側頸動脈狭窄や脳主冠動脈閉塞なし) ・冠動脈疾患 ・尿蛋白陽性の慢性腎臓病 ・糖尿病 ・抗血栓薬内服中 | 130/80mmHg | 125/75mmHg |
- 血圧指標の中では収縮期血圧が脳心血管病(脳梗塞、脳出血、心筋梗塞、狭心症)のリスクをより強く予測します。また、喫煙、糖尿病、脂質異常症などの危険因子が加わるとそのリスクはさらに高くなります。
- 白衣高血圧、仮面高血圧でも脳心血管病のリスクは高いため、注意が必要です。
2.脂質異常症
診断基準
LDLコレステロール | 140mg/dL以上 | 高LDLコレステロール血症 |
120~139mg/dL | 境界域LDLコレステロール血症 | |
HDLコレステロール | 40mg/dL未満 | 低LDLコレステロール血症 |
トリグリセライド(中性脂肪) | 150mg/dL以上(空腹時採血) | 高トリグリセライド血症 |
175mg/dL以上(随時採血) | ||
Non-HDLコレステロール | 170mg/dL以上 | 高non-HDLコレステロール血症 |
150~169mg/dL | 境界域non-HDLコレステロール血症 |
- 総コレステロール=LDL+HDL+(トリグリセライド/5)
- 総コレステロールの上昇は、将来の冠動脈疾患の発症や死亡のリスクを高めます。
- LDLコレステロールの上昇は、将来の冠動脈疾患の発症や死亡のリスクを高めます。
- HDLコレステロールの低下は、将来の冠動脈疾患や脳梗塞の発症や死亡のリスクを高めます。
- 空腹時、随時にかかわらずトリグリセライドは、将来の冠動脈疾患や脳梗塞の発症や死亡のリスクを高めます。
3.糖尿病
4.メタボリック症候群
5.喫煙
- 冠動脈疾患、脳卒中の危険因子であり、たとえ1日1本の喫煙でもリスクは上がります。
- 大動脈瘤、末梢動脈疾患の危険因子です。
- 受動喫煙は冠動脈疾患、脳卒中の危険因子です。
新型たばこの分類
1 | 加熱式たばこ タバコの葉を直接加熱して発生した物質を吸引。または、グリセリンなどを加熱して発生した物質をタバコ葉カプセル中を通過させて吸引する製品。 | |
2 | 電子たばこ 吸入器にニコチンやプロピレングリコール、グリセリンなどが含まれている味や香りのする溶液が入ったカートリッジを装着し、バッテリー等で加熱して発生したエアロゾルを吸引して使用する製品。 | |
a | ニコチンの入ったもの(本邦では販売禁止されている) | |
b | ニコチンの入っていないもの(規制なし) |
- 新型たばこの動脈硬化性疾患、がん、死亡のリスクについては流通してから短期間であるため、現時点では判定できていませんが、長期の経過において様々な健康影響の可能性があります。
生活習慣病はその名の通り“生活習慣”が病気の一因となっているので、その対策・予防には“良い生活習慣”が効果的です。良い生活習慣のキーワードに、「一無、二少、三多」があります。ぜひこれらを心がけましょう。
「一無、二少、三多」
一無(いちむ)
禁煙…たばこは吸わない
二小(にしょう)
小食…食事は腹八分目に抑える
小酒…小酒、節酒を心がける
三多(さんた)
多動…「座るより立つ」「乗るよりも歩く」など少しでも体を動かす
多休…しっかりとした休養をとる(7時間前後の睡眠)
多接…多くの人と接し、日常生活にメリハリをつける
風邪(かぜ症候群)
正式には「かぜ症候群」といい、くしゃみや鼻汁、咽頭痛、咳、痰等の呼吸器症状とともに発熱、頭痛、関節痛、全身倦怠感などの全身症状、時に悪心、嘔吐、下痢などの消化器症状を伴う急性呼吸器感染症の総称です。
かぜ症状群の原因微生物は、80~90%がウイルスといわれています。主な原因ウイルスとしては、ライノウイルス、コロナウイルスが多く、RSウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルスなどが続きます(パラインフルエンザウイルスとインフルエンザウイルス名前は似ていますが全く関係のないウイルスです)。ウイルス以外では、一般細菌、マイコプラズマなどが原因となります。
ウイルス性のかぜ症候群の場合、インフルエンザウイルス以外のウイルスには有効な抗ウイルス薬はありません。安静、水分・栄養補給により経過をみます。一般的には1週間程度で自然治癒します。鼻水や発熱があれば症状を軽減するための内服薬を使用します。原因菌として細菌やマイコプラズマが疑われる場合には、抗菌薬を投与します。