消化器内科(肝臓・胆のう・膵臓)

【診療内容】

  • 肝臓、胆道、膵臓の病気を対象としています。
  • 消化器専門医による専門性の高い診療を実践しています。
  • がんの早期発見と早期治療を目指し、超音波装置、CT検査による定期健診を実施しています。
  • より専門的な医療が必要と判断したとき、適切な病院に紹介します。

【対象となる病気】

  • ウイルス性肝炎(C型肝炎、B型肝炎)
  • 脂肪性肝疾患
  • アルコール性関連肝疾患
  • 自己免疫性肝疾患(自己免疫性肝炎/原発性胆汁性胆管炎/原発性硬化性胆管炎)
  • 肝硬変・肝不全、肝臓がん
  • 胆のうポリープ、胆のう炎、胆石症、胆管炎、胆のうがん
  • 急性膵炎、慢性膵炎、膵臓がん、膵のう胞性腫瘍

【症状について】

  • 肝臓疾患による症状
    倦怠感、皮膚のかゆみ、むくみ、腹水、皮膚や白目の黄染(黄疸)
  • 胆のう疾患による症状
    右肋骨の下あたりの痛み、悪寒、皮膚や白目の黄染(黄疸)
  • 膵臓疾患による症状
    腹痛、背中の痛み、吐き気、下痢、皮膚や白目の黄染(黄疸)

上記症状に加えて発熱、体重減少も重要なサインになります。

【当院で実施可能な検査】

当院では主に以下の検査で、診断を行います。
  • 腹部超音波検査(エコー検査)
  • CT検査

【MASLD、MASHとは】

  1. MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)
     生活習慣(肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧など)に関連して肝臓に脂肪がたまる病気の総称です。
  2. MASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)
     脂肪がたまるだけでなく、“肝臓に炎症・線維化(肝硬変に近づく傷)”が進む状態を指します。
肝臓の病気は、B型肝炎や、C型肝炎などのウイルス性肝炎やアルコール多飲によるアルコール性肝障害がよく知られています。しかし近年、これらとは異なる原因によって起こる肝臓病が増えており、その代表が非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)や非アルコール性脂肪肝炎(NASH)です。
NAFLDやNASHという疾患名は2023年より新たに
MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)
MASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)
へと名称が変更されました。

【MASLD、MASHの有病率は高い】

日本肝臓学会と日本糖尿病学会が合同で健康診断を受けた全国約7万人を調査したところ、25.8%がMASLD であることがわかりました。
つまり一般の人の4人に1人がNAFLDというとても身近な病気です。
また、NAFLDのある人の中では、糖尿病が14%、高血圧が31%、脂質異常症が48%と、生活習慣病を併せ持つ人が多いことも明らかになりました。
さらにNAFLDが原因で肝臓が固くなる(線維化が進む)状態の人、つまり将来肝がん  に進む可能性がある人が1.7%存在することもわかりしました。
Fujii H. Hepatol Res. 2023:53:1059-1072.
 
 これらの結果から、脂肪肝は非常にありふれた病気でありながら、放置すると肝硬変や肝がんにつながる可能性があることが示されています。健康診断で肝機能の数値が気になる方は、早めの生活習慣改善や医療機関でのチェックが大切です。

【MASLD、MASHは肝臓だけの病気ではありません】

最近、日本の大規模な研究で、MASLDを持つ人は、心臓や血管の病気(心筋梗塞、狭心症、脳卒中など)になりやすいことがわかっています。たとえば、40歳以上の健診受診者約16万人を調べた研究では、MASLDの人はそうでない人に比べて、冠動脈(心臓を動かすための血液を送る血管)の病気のリスクが約1.4〜1.5倍、脳卒中など脳血管の病気のリスクが約1.4〜1.6倍でした。
Akeno Y. Hepatol Res. 2025:55:807-817. 
 
 また、海外の大規模研究において、MASLDの方は、肝がん(約1%)よりも、心臓や血管の病気(約38%)、肝臓以外のがん癌(約19%)で亡くなることが多いことが報告されており、肝臓の病気だけが問題ではないことが分かっています。
Angulo P. Gastroenterology 2015:149:389-397.
 
 MASLDの人には、肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常などの代謝異常を伴うことが多く、これらが重なって心臓や血管の病気のリスクが高まると考えられています。
つまり、MASLD/MASHは「肝臓だけの病気」ではなく、「全身の健康リスクを高める病気」なのです。
 そのため、MASLDと診断された方は、肝臓だけでなく全身の健康状態を定期的にチェックすることが大切ですし、血圧、血糖、脂質、心臓や血管の状態などをあわせて確認することで、将来の病気を早めに防ぐことができると考えます。

【なぜMASLD、MASHになってしまうの?】

MASLDやMASHは肥満、2型糖尿病、脂質異常症、高血圧症などの生活習慣病と強く関連しています。MASLDでは、食習慣の乱れ、運動不足習、ストレス、内臓肥満などを背景に、肝細胞内に脂肪が沈着した状態になります。これを放置すると、肝臓で慢性的な炎症が起こり、徐々に線維化が進行して、肝臓が固くなり、MASHへと進展します。
現在、日本でもB型肝炎、C型肝炎、アルコール以外が原因となる肝がんが増加しており、その背景としてMASLD、MASHが大きく注目されています。
Nakano M. Sci Rep 2022:12:1517.

【MASLD、MASHの検査(どんな検査をするの?)】

当院の専門外来では、肝臓専門医・糖尿病専門医が連携し、以下の3つを中心に評価します。
① 血液検査
• 肝機能(AST、ALT、γ-GTP)
• 糖代謝(血糖値、HbA1c、インスリン、Cペプチド、尿検査など)
• 脂質(LDL、HDL、TG)
• 線維化マーカー(FIB-4 index、ELFスコアなど)
②画像検査
• 腹部超音波、CT/MRI(必要に応じて)
• 超音波エラストグラフィ
→ 肝臓の硬さ(線維化)と脂肪量を非侵襲的に評価
③ 肝臓の病態評価
• 病態の重症度(脂肪量・炎症・線維化)を総合的に判定
• 将来の肝硬変・肝がんリスクを予測


【MAFLD、MASHの治療は何があるの?】

脂肪性肝疾患の治療は「生活習慣改善+薬物療法+合併症管理」の3本柱です。
医師、看護師、管理栄養士、理学療法士、検査技師がチームでサポートします
① 生活習慣改善(治療の中心となります)  
• BMI<25:体重3-5%の減量で肝炎・線維化が改善
• BMI≧25:体重5%以上の減量で肝脂肪化の改善
               体重7%以上の減量で肝線維化の改善
• 食事:適正カロリー、糖質過多の是正
• 運動:有酸素運動+筋力トレーニング
②薬物療法(糖尿病専門医と連携)
• SGLT2 阻害薬、GLP-1 受容体作動薬
→ 体重・脂肪肝・血糖の改善に有効
• 高血圧・脂質異常症の治療も肝臓を守るために重要
• 今後、”MASH 直接治療薬(新薬)“が順次導入予定
③ 合併症・進行リスクの管理
• 肝硬変リスクが高い場合は定期的な肝がん検査
• 糖尿病・脂質異常症の厳格な管理で肝臓への負担軽減
• 高血圧症・腎臓病などの併存症にも対応

【肝臓・胆道・膵臓の病気について】

<肝臓の病気>

B型肝炎
C型肝炎
脂肪性肝疾患
アルコール性関連肝疾患
自己免疫性肝疾患(自己免疫性肝炎/原発性胆汁性胆管炎/原発性硬化性胆管炎)
肝硬変・肝不全
肝臓がん

<胆のう、胆管の病気>

胆のうポリープ
胆のう炎
胆石症
胆管炎
胆のうがん

<膵臓の病気>

急性膵炎
慢性膵炎
膵臓がん
膵のう胞性腫瘍

【胆道疾患の治療について】

当院では、以下のような内視鏡治療が可能です。

内視鏡的逆行性胆管膵管造影(endoscopic retrograde cholangio pancreatography:ERCP)

黄疸や胆汁・膵液の通過障害がある場合にその原因を明らかにするために行う検査です。内視鏡を十二指腸まで挿入し、十二指腸乳頭部(胆管や膵管の出口)から、細い管を使って胆管と膵管に造影剤を入れ、レントゲン撮影を行う検査です。主に、胆管結石、胆道がん、膵臓がんなどの診断のために検査しますが、同時に、これらの病気によっておこる症状に対する治療にも応用されています。
 内視鏡的胆管結石除去術・内視鏡的乳頭括約筋切開術(endoscopic sphincterotomy:EST)
 内視鏡的乳頭バルーン拡張術(endoscopicpapillary balloon dilation:EPBD)
内視鏡的胆管結石除去術は、総胆管の出口である十二指腸乳頭から結石を除去する治療法ですが、総胆管の出口は狭く、結石を除去するスペースがありません。このため、結石を除去する前に総胆管の出口を広げる必要があり、電気メスを使って乳頭部を切開して胆管の出口を広げる方法(EST)とバルーンを用いて胆管の出口を広げる方法(EPBD)の二つがあります。
 内視鏡的経鼻胆管ドレナージ(endoscopic nasobiliary drainage:ENBD)
 内視鏡的胆管ステント留置術(endoscopic biliary stenting:EBS)
 経皮経肝胆道ドレナージ(percutaneous transhepatic biliary drainage:PTBD)
胆汁は肝臓から胆管を経て、十二指腸へと排泄されます。この流れの途中で結石や腫瘍などができてしまうと、流れがうまくいかずに胆汁がうっ滞してしまいます。この状態を閉塞性黄疸と言い、肝臓の働きが悪くなったり、敗血症になり、命に関わることもあります。そうならないために、うっ滞した胆汁をなるべく早く外に胆管外に排出する治療が必要になります。この方法には、内視鏡を使い胆道にチューブを入れる方法(ENBD/EBS)と、体の表面から肝臓を通って胆管にチューブを挿入する方法(PTBD)があります。
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